自立したい。自分の好きな事で独立したい。でも自分の商品・サービスがない。何をやっていいかわからない、そんな人に朗報です。
バージニア大学ダーデン経営大学院のSaras Sarasvathy教授(インド人)が提唱している理論で、effectuationエフェクチュエーションというものがあります。(舌を噛みそうな名前ですよね)これを知ると、あなたは独立の勇気と方向性を持つことができます。
この理論はふつう「大企業や優れた起業家向け」みたいに言われています。でも、たとえば主婦がコッソリ何かを始める時も、ボクらフリーランスも当てはまるんです。
独立に大切な2つのことがあります。それは1.小さなステップと、2.大きな視点です。マラソンでたとえるなら、1.が走り方で、2.が鳥の目で全体をとらえる、みたいなことです。
小さいことをこまごまとやることと、活動の未来まで見ておく、ということです。あなたが独立に向けて動いた未来がどうなっていくのか、全体像をこの記事でイメージしてもらえます。
もしあなたがすでに独立していたとしても、この記事でお仕事の良い方向性を見つけることができるでしょう。
こんなツイートもしました。
それではいってみましょう。
独立に繋がるeffectuationの5ステップとは
effectuationは5ステップで構成されています。5つのポイントをすごろくのように歩いていくイメージです。それがこちらです。
- Bird in Hand
- Affordable Loss
- Crazy-Quilt
- Lemonade
- Pilot-in-the-plane
意味不明ですね(-_-;)
これからカンタンにしていくので、安心してください。まずは日本語に訳しましょう。
- 手中の鳥
- 許容可能な損失
- クレイジーキルト
- レモネード
- 飛行機の中のパイロット
これをもっとカンタンにしますね。こんな風に捉えると良いです。
- 身近なできる事からやる
- 失敗は織り込み済み
- コラボする
- 閃き・発明が起こる
- 良い方に方向を変える
ここではおおざっぱにイメージできてればOKです。それでは一つ一つかみ砕いていきましょう。
1Bird in Hand(手中の鳥)「身近なできる事からやる」とは?
身近なできる事というのは、たとえばこんなものです。
- あなたの身近な人が困っていること
- あなたがお手伝いしていること
- あなたが得意な事、好きな事
- あなたの趣味でやっていること
- あなたが人に頼まれること
「幸せの青い鳥」のお話のように、あなたの大切なものはあなたの近くにあります。間違っても自分に全然関係のない、縁もゆかりもないものをやろうとしないことです。何の脈絡もなく、「いきなり宅建を取る」とか、どうかしてますから、ヤメてね。気をつけましょう。
あなたが情熱を注げるもの、あなたが人の役にたてるもの、そういうものの先に、あなたの独立の中心になる商品・サービスがあります。
こんなツイートもしました。
2Affordable Loss(許容可能な損失)「失敗は織り込み済み」とは?
あなたは失敗するのが好きですか?あまり好きな人はいないかもしれません。でも、独立に向けての失敗は必ずあります。必ずです。最初から何もかもうまく行く人なんていません。だから、失敗を予定しておいてください。
予定していないから、失敗は怖いんです。準備しておけば、対処できます。
つまり、「これが失敗したら、大きな借金を抱えてしまう。家族を路頭に迷わせてしまう」というようなリスキーな選択をしないようにする、ということです。スモールスタートで、実験を重ねましょう。失敗しますから、それを改善していく事で、良いものにしていくわけです。
こんなツイートもしました。
小さな失敗をして、改善して、成功することが積み重なれば、「これはイケる」と思う形になっていきます。その時に少し大きなチャレンジをする、ということです。
よくある失敗を紹介します。
「脱サラした人が退職金の多くをかけて会社を作ってしまう」
「一発目のチャレンジに広告代を100万円使ってしまう」
お客さんもいなければ、ノウハウも確立していない、そんな商売うまくいきっこないんです。徐々にいきましょう。
3Crazy-Quilt(クレイジーキルト)「コラボする」とは?
3はクレイジーキルト、という場合もありますが、パッチワークキルトという場合もあります。プロセスエコノミーという本では、そちらで紹介されています。
パッチワークですから、ちいさなツギハギを合わせていく、というイメージです。あなたがやっていることが、小さくてお金にならないようなものでも、誰かのそれと合わせれば、大きな価値を生みます。
たとえば、バスケを教えられる人と、バスケットボールシューズのオタクの人がコラボすれば、バスケ祭りが開けます。体育館を会場にして、前半はバスケの技術を教える時間、後半は自分のプレイに合ったシューズ選びのイベントにします。前半でDVDが売れ、後半でシューズが売れます。
たとえば、物語を作る人と、絵が描ける人がコラボすれば、絵本を作ることができます。そこにさらに絵本を読み聞かせする人がコラボすれば、絵本で子育ての講習をすることができます。絵本も売れるし、子育てスクールにも生徒がきます。作家の主催する物語の書き方教室に生徒がきますし、画家の主催するお絵かき教室に生徒がきます。
このように、一つ一つは小さなものでも、かけ合わせれば価値のあるものが作れる、ということです。これからの時代は、風の時代と言われます。個性の時代です。大きな会社でみんなが頑張る時代ではなくて、個性と個性が交じり合って何かを生み出す時代です。
実際にSNSでインフルエンサーになる人がどんどん生まれて、いろんなコラボが生まれていますよね。僕らはそんな大きな風を巻き起こせないとしても、小さなところでコラボしていくことで、独立につながる価値を生み出していく事ができます。
それに風はいきなり大きくなりません。僕らに大きく見えているものも、必ず初めは小さかったんですよ。
4Lemonade(レモネード)閃き・発明が起こるとは?
レモネードは、酸っぱくて使い物にならないレモンに、砂糖水をいれることで美味しくなった奇跡の飲み物です。梅干しだって、木になるのは固い梅です。それを塩につけて置いておくと栄養満点の保存食になった奇跡の食べ物です。
そのように、商品やサービスは偶然的に生まれます。
たとえばポストイット(付箋シール)がどう生まれたか知っていますか?あれは接着剤の開発の失敗から生まれました。ノーベル賞を取った田中耕一さんも、誤って化学薬品を入れたことでたんぱく質の分析方法を発見しました。取材したNHK記者は「偶然は強い意思が生み出す必然」とまとめています。
このように、続けていると偶然が起こります。失敗を繰り返していると、発見が生まれます。それが開発・発明・ブレイクスルーのヒントになるのです。実はうまくいっている自営業者は、こういうストーリーを必ず持っています。上に出した例は少し凄すぎるので、あなたに関係ないと思ったかもしれません。
そこで、ボクのちいさな例を一つ紹介しましょう。ボクは自営業でDVD制作から始めました。依頼されたものを撮影・編集して、DVDにしていました。そんな時にある人が訪ねてきました。「DVDの画質を良くしたいので教えてください」と。その方は、野球コーチで指導DVDを作っておられました。それをヒントに、後に事業売り上げが倍増する「バスケ指導DVD」という発明が起こったのです。この方が訪ねてきたことは偶然でしたが、振り返ればこれは必然だったんだと思います。
5Pilot-in-the-plane(飛行機の中のパイロット)良い方に方向を変えるとは?
パイロットは操縦かんを握っていますね。ここにでてくるパイロットの仕事は「舵をきること」です。1~4と続けていったあなたはついに、偶然の閃きや出会いで、発明を思いつきます。その時に、良い方向に舵を切れるかどうか、これが5番目のステップになります。
たとえば、依頼されたDVD制作ばかりをやっていたのを少しセーブして、バスケ指導DVDを作るためにバスケの指導者に会いに行って撮影することを始める、というのが舵を切る例です。
これだ!と思った時にそちらに動き出せるかがカギになります。もちろん間違ったものをつかんでしまうこともあるでしょう。その時は再修正してもとの軌道に戻ることも必要です。それもパイロットの仕事です。でも間違っているかどうか、やってみないとわかりませんよね。
そうやって、動き出せる、方向を変えられることが、5つ目のステップになります。
さて、ここまでがエフェクチュエーションの5ステップです。ここでこんな疑問や反論をもつかもしれません。「そんなうまく行くんですか?不確実なことに踏み出せません」と。それについて、最後に少し考えてみましょう。
3と4って本当に起こるの?実は昔からある言葉が証明してくれている
ここで多くの人が心配になる、不安になることがあります。それは、3,4って本当に起こるの?ってことです。偶然の要素が強いものを、なかなか信じられませんよね。
でもこれは起こります。想いを持って続けている人には必ず起こります。縁ってそういうものなんです。これを仏教ではこうと教えます。
「因+縁=果」
1,2,5が因、3,4が縁です。
必要な時に必然な出来事があり、出会いがあります。あなたの周りで、またはあなたのモデルになるような人を想像してみてください。必ず小さく始めて、誰かと出会って、化学変化を起こしていませんか?
実は日本にも昔からこの考え方があります。先人が伝えてくれているんですよ。あなたもこの言葉を知っているはずです。
「犬も歩けば棒に当たる」
やらないと何も起こりません。歩き続けないと棒にはあたりません。「犬も寝てれば棒に当たる」ではないですからね。
こんなツイートもしました。
だからあなたが独立したくても、ブレイクスルーが起こるまでは本業を手放せない時期が続くでしょう。それは通過儀礼で、みんなが通る道です。大切なのは小さく始める事、続けることです。何かが起こると信じて、歩き続ける人だけが、これを起こすことができます。
この考えの創始者Saras Sarasvathy教授(インド人)は「未来はコントロールできる限り予測する必要はない」という考えを示しています。つまりどういうことかと言うと…
「こう言う流れでうまくいく」って確信を持ってから始めていくのではなくて、「起こったことに対して未来を創っていく」という考えで行こう、ということです。こっちの方がこれからの時代は自然です。世の中が急激に変化していきますからね。
まとめ
独立したい、独立しているけど悶々としているなら、エフェクチュエーションで鳥の目で自分を見てみましょう。
- 身近なできる事からやる
- 失敗は織り込み済み
- コラボする
- 閃き・発明が起こる
- 良い方に方向を変える
手近なことを、小さく始めて、失敗しても改善しながら続けて、誰かと組み合わせて、そこでシナジーや閃きを起こし、少しずつ舵を切っていきましょう。
これが、独立がうまくいく一つのモデルケースです。この記事を書いたのは、「シンプルな経営で、才能をお金に変えて、本来の魅力を発揮する、フリーランスの家庭教師」焚き火たかじでした。
この記事をここまで読んだあなたに、次にぴったりな記事はこちらです。
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