本の内容を全公開中【その5】~両親の対応のおかげ☆後で消します

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僕が変わりだすきっかけが来るのはもう少し後の話なんですが、本当に凄かったのは両親の対応だったように思います。

僕が自力で虫が土から這い出すように活動を再開できたのは、間違いなく冬眠中の僕に対する親の対応のおかげです。そういう意味でも恵まれていました。何が正解なのか、なんてわからないです。だからもしあなたのお子さんがこんな状況になったらこの対応が正しいのか、なんてわからないです。ただの成功の一例として参考にしていただく程度にしてくださいね。(これ、よく聞かれるんですよね。なので書いておきます)

親が僕にしたのは表面的にはこれだけ、と言ってもいいです。それは、朝は必ず8時に朝食を食べること、昼は昼食を食べる事、夜は晩御飯を食べる事です。

朝は寝てたら起こされますし、起こされるのも悪いんで、自分で頑張って起きてました。それしか言ってこないんで、それぐらいはちゃんとやろうという、息子の意地です。何の意地やねん。5時ぐらいまでピコピコとしてるのが日常でしたが朝は必ず食べていました。

会話は普通にありました。僕は家ではあまり口数が多い方ではないので、母親とは世間話程度とかです。父親とは共通の趣味(競馬)がありましたので、そのコミュニケーションは取っていました。「はよ起きー」とか、「臭いからさっさと風呂に入れ」とか、「ちゃんと片付けろ」みたいな小言は普通に言われますし、特別気を使っているようなこともなかったです。いわば、フツーに接してくれました。

一つだけ言わなかったことがあります。それは「あんたこれからどうすんの?」「あんた仕事は?」「どない思てんの?」というようなことです。「こんなことをしたらどうや?」「こんなんあるで」とかも一切言わなかったです。

うちの母親を知っている人なら意外に思うでしょう。なぜならうちの母親は超がつくほどおせっかいで過保護な親だからです。小学校時代は自転車に乗る時はヘルメットやプロテクター、学校に来ていく服は全部出してくれたし、なんでもかんでも先回りしてやる人です。

生活面に関しては。最近でも行けば絶対に何か晩御飯のオカズを半ば無理やり持たせようとしますし、免許の更新なんて、誕生日が近づくと4回ぐらい「あんたちゃんと行ったか?」と聞かれます。更新の年じゃなくてもです。3月になると確定申告は2日に1回確認されます。「あんた確定申告終わったんか?」って。3回目からは僕は無視です。これぐらいおせっかいで、世話焼きです。

最近は近所の高齢者だけで住んでいる家に行き、無償で掃除したり料理したりするような人です。もともとは知らない人にですよ?「オタクは高齢者だけだから、大変でしょ?」って言って乗り込んで行くんです。そこは尊敬します。おせっかいも突き抜けたら才能だなって思います。うちの母親ももうすぐ後期高齢者なんですけど(笑)

そんな、おせっかいで口うるさいオカンなのですが、大事な選択は絶対せっつかないんですよね。高校の進学先も、大学も、就職も、何一つとして相談をしたことがありません。全部僕が勝手に決めてからの事後報告です。

というわけで、僕がこれから何の仕事をするのかについては一切口を出したことがないです。仕事について言われたのは、後の自営業について、値上げを反対されたりとか、ある仕事については減らすということに反対される、ということはあります。

母親も元自営業者、そのお母さん、だからおばあちゃんですね、祖母も元自営業者なので、商売については口出ししてきますね。まぁ、値上げも、仕事を減らすことも、言うことを聞いたことは一度もないですが。思えば、勉強しなさい、も言われたことないですね。

勉強について、仕事について、促すような命令もアドバイスもほとんどされたことがないです。だから塾も中3で自分が行きたいって言うまで行かなかったですね。

めっちゃ余談なんですけどね、中3で塾に行ったのは、となりの中学の女の子のことが好きで、その子が通っているから、というヨコシマな理由からでした。で、その子の志望校が寝屋川高校という、当時の僕にはちょっと無理目の進学校だったんですね。その子と同じ高校に行きたい!というモチベーションでめちゃくちゃ勉強した結果、偏差値が1年で20ぐらいあがって、なんと同じ高校に行くことができました。成績を上げる一番の方法は、恋心です。さらに言うと、そこで出会った別の子が今の奥さんです(笑)

話を戻して、僕の頭に親からインストールされていたのは「アンタはやればできる子」ということでした。なのでいつも思ってるんですよね。何度か人生でピンチみたいな状況があるんですが、結構楽観的です。「俺、やればできる子やから、多分大丈夫やでー」って。「本気だしたら凄いねんからー。ちょっと今本気じゃなかっただけだけー」みたいな感じです。

多分ですけど、親も相当我慢したんじゃないでしょうか。26の息子が家にずーっといるわけですから。色々言いたくなったと思いますよ。でもきっとこう言い聞かせていたんじゃないでしょうか。

「この子はやればできる子。私が育てたし、子育ては終わった。自立できる子。だから信じて待つだけ。いつまででも、信じて待つだけ」そう思っていてくれたんじゃないでしょうか。そのことに、今はすごく感謝しています。

「寝ている地蔵は起こさない」という言葉があります。寝転んでいる人を起こすのって、すごく力が要りますよね。でも、その人が起き上がろうとしていれば、力は半分で済みますよね。まだ寝たいって言ってる人を起こすのって、起こす方もしんどいし、起こされる方は超鬱陶しいんです。

「握手は、相手と同じ力で握れ」という言葉があります。握手が痛い奴、いますよねー。元気な人に多いです。僕も一時そうでした。ごめんなさい。でも今はそんな強く握られるのは嫌です。握手が弱弱しい人、いますよねー。なんやろ?この人生きてんのかな?俺の手にうんちでもついると思ってるのかな?みたいな。これもなんか気持ちよくない。でもこれって主観なんですよね。

自分と同じ力で握り返してもらったら一番気持ちよいんじゃないですかね。対人関係も親子関係もそうなんじゃないかな、って思うんです。相手がどれぐらいの力で握って欲しいのか、それだけを握ってあげて欲しいと、世の中のお母さんには思います。

たいがいが握りすぎです。他人だったら絶対そんなに握らないはずです。いやいや、他人じゃなくて、わが子なんです!って言われるんですけど、それは一人の人間として認めていない、と捉えますよ。子どもはね。

僕もたいがい他人に対して握りすぎるところがあるので、自戒も込めて書かせていただきました。ちなみに、「寝ている地蔵は起こさない」「握手は、相手と同じ力で握れ」という言葉は、焚き火たかじの言葉です

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